一期一会

新人戦で、ある会場での出来事をお話しします。応援で訪れた体育館の入り口付近にあるベンチに、腰をおろしている女性がいました。その女性は、私の様子をうかがっている様子で、私も少し気にはなっていました。そして、その女性から、「清水先生ですか?」と声をかけられました。
その女性は、私が教員となって初めて勤めた中学校の保護者でした。その時から35年も経っています。その日は、お孫さんの部活の応援で来ていました。
しばらくして、父親(私にとっては教え子、部活で関わり、社会科を教え、担任もさせてもらった)が現れました。そこでまた、驚きました。試合中、私も父親も、お互いに試合中から気になっていた人でした。
人と人との出会いは、とても不思議なものです。35年という月日がたっても、あっという間に当時のことが思い出されます。その女性は、私がもつ部活の応援にいつも来てくれていました。部活動の応援団として、いつもいつも強力にバックアップをしてくれました。私は顧問として、どれだけ助けられたことか。3人でとても素晴らしく、お互いに嬉しい時間を過ごすことができました。
茶道の心得に「一期一会」という言葉があります。これは、安土桃山時代の茶人である山上宗二(やまのうえ そうじ、千利休の弟子)の著書『山上宗二記』に、「一期に一度の会」と記したのが始まりとされています。その後、井伊直弼(幕末の大老であり、茶人でもある)が、著書『茶湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)』の中で、「一期一会」の四字を取り上げ、この言葉が広く知られるようになったそうです。一生に一度きりの出会いを大切に、誠意を尽くすという意味です。この言葉の真髄は、「何度も会う間柄であっても、今この瞬間は二度と戻らない」という点にあります。
学校はもとより、皆さんが活躍する場所は、生涯の友や人生を決定づける先生などの人々と出会う場所です。「当たり前」のものとして、毎日が通り過ぎてしまいがちですが、たとえ何度も顔を合わせる間柄であったとしても、その一つ一つが将来、どんな関わりとして訪れるか分からないものです。再び不思議な出会いとなることがあるかもしれないのです。「一期一会」。出会いは、大切にしなければならないと心から感じました。
令和8年9月28日 全校朝会校長講話 清水 利浩

